「詩織さんから、
茜の中学の時の話を聞いた」


裕人はそのことに驚いているみたいだった。


「お前には
関係のない話だろ」

「そうかもしれない」

「だったら…」

「もっと知りたいから、
真実を知りたいから来た」

「知ってどうするつもりだよ」

「俺は茜にとって関係ないのかもしれない。救えるのも俺だと思わない」

「じゃあ関係ねぇだろ」

「でも諦められない」


俺の覚悟を理解してくれたからか、裕人は少し悲しそうに口を開いた。


「詩織が……、
言っていた通りだ」

「そっか」

「俺が茜の家に着いた時、
すでに遅かったんだ」

「………」

「もう家の中には茜はいなかった。逃げられたんだよ」

「…そっか」


その言葉しか見つからない。


「俺は諦められないからこうやって茜を追った。噂を頼りにして!」


裕人が茜に寄せる心と俺の心は似ている。

だから気持ちもよく分かる。


諦められない気持ちも一緒だろう。


だから次に言われる言葉もよく分かっていた。


「昔、出逢った時から
茜のことが大好きだ」