僕の可愛いお姫様

ねぇ、どうしてそんなに錯乱するの。
何がそんなに悲しいの。

君はずっと莉世に会いたかった筈だ。
そしてそれを莉世だって望んでいた。

けれど君と莉世を会わせるわけにはいかない。
俺だって馬鹿じゃないんだ。
莉世は間違いなく、君を奪って逃げるだろう。
この二人だけの世界への侵入者は誰であり、敵だ。

でもね、「親友に会いたい」と願う君を無視し続ける事も出来なかったんだ。

それならば、思った。
それなら「二人が一つになれば」いい。
そしたらもう二度と離れ離れにならないで済む。

君の血肉になった人間が他人であれ、君の血肉になったとなれば、ソレは君自身だ。

全部まとめて愛していけると思った。

その考えに至った時、同時に嫉妬もした。
君と一体化出来る、その事実に強く嫉妬した。

だけど俺は、君を抱き締めていく未来を選択するよ。
一つになれなくても君に触れ、抱き締めていく。

それが出来る未来が欲しかった。