僕の可愛いお姫様

正直、調理には少し手間取った。

梅雨李はトマトが好きだ。
「大好き」というわけではないと思う。
「そこそこ好き」とか、その程度だと思うけど、俺の頭の中には初めてこの部屋で梅雨李と過ごした夜のグラタンが鮮明に残っていた。

あり合わせでドタバタと作ったマカロニのみグラタンは質素な物だったし、出来栄えもグラタンとしてはゆるく、あまり良くは無かった。

だから今度こそ失敗せず、温かくて、少し豪華な食事を梅雨李にさせたかった。

トマトを使おうと思ったのは、温かい食べ物と言えばスープ、梅雨李はスープならミネストローネが一番好きだとは知っていた。
そして今日は「スープするには」とっておきのトマトが手に入る、と思い至ったからだ。

新鮮で、特別「梅雨李が」大好きなトマト。
スープにする為にわざわざ潰す必要も無いトマト。