僕の可愛いお姫様

酷く冷たい、日だった。

桜はすっかり散って、外の景色はピンクから葉桜に姿を変えていた。
春も終わり、梅雨に差し掛かろうかという、この時期に、冬に戻ったと錯覚する様な寒さ。

雨が降っていた。
パタパタと音を立てて窓にぶつかる粒は、当たっては砕け、流れ落ちては姿を一瞬で消していく。

「寒いね。」

梅雨李が不意に声を出した。

弾かれた様に振り向いて、俺は梅雨李に近付く。
傍に落ちていた毛布を拾い、彼女にかける。

毛布をたくしてそこに丸まる梅雨李は、とても小さな生き物だった。

「本当に、今日は冷えるね。」

梅雨李に言いながら、彼女をこの部屋に閉じ込めた、最初の夜も、同じ事を言ったな、と思い出した。

「今日はスープにしようか。
すごく温まるやつ。期待しててね。」

梅雨李に言うと、彼女は薄く、笑っていた。