僕の可愛いお姫様

「ただいま。」

部屋に入ると、突然の暗闇に、目眩を覚える。
急に光を奪われた時、まともな人間なら、パニックに陥るかもしれないな、なんて思った。

リビングに入ると、其処には梅雨李が居た。
当たり前なんだけど、安心もした。
外出していた数時間、梅雨李がどうにかして、逃げ出すのではないかと、不安の方が大きかったから。

「おか…えりなさい…。」

「………。」

思いがけない梅雨李からの言葉に、息を飲んだ。
此処に来て、彼女の方から言葉をくれたのは、初めてかもしれない。
素直に、嬉しかった。

「ただ…いま。どうしたの、梅雨李…。」

にっこりと笑ってみたが、上手く出来た自信は無い。

「変な事訊くのね?
帰ってきた人に『おかえりなさい』って言うのは普通でしょう?」

くすくすと、梅雨李が楽しそうに笑う。
思わず抱きすくめる。
強く、強く、この想いが伝わるように。