僕の可愛いお姫様

「大学は。」

漸く声を発してくれた彼女に、表情が綻ぶのを、自分で感じた。

「梅雨李。今日も可愛い声だ。」

そんな俺に、今度は梅雨李がお構いなしに続けて言った。

「大学、行かないと。皆心配する…。
莉世達なら特に…きっと変に思うわ。

ねぇ、冗談なんでしょ?もう気が済んだでしょ?だから…っ………。」

梅雨李の口を、塞いでやった。

ねぇ、梅雨李。
君は本当に分からず屋だね。
でも、いいよ。
そのうちきっと分かるから。

この世界で何が一番大切か。
この世界で君を守れるのは、たった一人だけだと。