僕の可愛いお姫様

しまった、と思った。

目を開けた時にはすっかり朝で、カーテンの隙間からは明かりが漏れている。

迂闊だった。
眠らないつもりだったのに。
いつ何が起きてもいいように、体制は整えておくつもりだった。

人間、生理現象には勝てないらしい。
どんなに大切な人を目の前にしても、本能に逆らえない自分が、堪らなく嫌だった。

嫌悪感を抱えたまま、梅雨李を見る。
昨晩、結局彼女は「元の位置」で眠りに就いた。

「あんな事」があった後だ。
念の為に、きつく、繋いだ。
寝転んで、起き上がって、は自分で出来る程度に。

すぅ…すぅ…と寝息が聴こえる。
彼女もまた、本能には逆らえないらしい。
その事実に安心する自分がいた。