僕の可愛いお姫様

「返して…返してよ。
私の生活を、私の普通を、私の大好きな人達を返してよっ…。」

泣き、叫ぶ様に嗚咽と共に漏らした声。
「棘」は何度も、俺をえぐる。
甘く、甘く…。

「『大好きな人』なら、此処に居るだろう?
誰よりも君を一番に想えるよ。
『あいつら』とは違う。
いつもいつも、俺の中には梅雨李しか居なかった。

『あいつら』は君の為に何が出来る?
俺は違う。
君の為なら何者にだってなれるよ。」

梅雨李を誰よりも愛している。
梅雨李の為なら何を失くしてもいい。

だけどその想いが届いていない、一人善がりだったと知ってしまった時、…その心は何処へ向かうんだろう。

君を失くせないままで、
君を愛したままで…

何処へ向かうんだろう。