僕の可愛いお姫様

僅かに口を開けたまま、ぽかん、とした顔で、俺と、自身の腕を見比べている。

梅雨李の右手首、俺の左手首が、今は銀色の輪っかで繋がっている。
「手錠」。立派な拘束道具だ。

わけが解らないといった表情で、彼女からは息遣いしか聴こえてこない。

「梅雨李を野放しにするなんて、そんな危険な事しないから安心して。
眠っている時は特に、ね。
君は悪戯っ子なところがあるから、心配なんだ。」

心底、梅雨李を想っている。
梅雨李しか想って居ない。
眠るなんて無防備な時に、彼女に「何か」あっては困るんだ。

いつも近くに。出来るだけ近くに。
両手で抱き締められない事は難だけど、梅雨李の一番近くに居られれば、それでいい。

なのに、彼女から漏れた声は、「落胆」だった。