僕の可愛いお姫様

結局梅雨李は一口も食べなかった。
梅雨李が食べないのなら、俺も要らない。
梅雨李がして嬉しい事を、二人で共有したいから。

後片付けを終えて、リビングに戻る。

「梅雨李、今日は疲れたでしょう。
もう寝ようか。」

梅雨李に声をかける。
しかし梅雨李は、その動きしか出来ないみたいに、首を横に振るだけだった。

「寝ないと躰に悪い。」

「こんな所で眠れるわけないじゃない…。」

独り言の様に呟いたその声は、涙声だった。

「…あぁ、そうか。こんな床じゃ眠れないよね。」

自室の床にはラグを敷いてある。
それでいたって、布団に比べれば痛いに決まっている。