僕の可愛いお姫様

「っ…要らないってばっ…!!!」

どうぞ、と梅雨李の口元にスプーンを近付けた、俺のその手を、梅雨李は今までには感じられないくらいに、強くはたいた。

ガシャンッと大きくなる金属。
不意にはたかれたスプーンとグラタン。

はたいた拍子に梅雨李の爪が、俺のカーディガンに引っかかって、ほつれている。
おまけにカーディガンはホワイトソースまみれだった。

ゆるゆると梅雨李を見れば、彼女もまた同じ様に、ゆるゆると俺を見返した。
その瞳が揺れている事が分かった。

顔面蒼白、といった感じに。
しまった、と言い出しそうな目をしている。