僕の可愛いお姫様

それでも梅雨李の為に一生懸命作った物だ。
「受け入れて欲しい」と切に願う俺もいる。

そもそも「こんな状況」の梅雨李に「自分で食べろ」と言うのも酷だろう。
自分で寝て起きて、手足を動かす事が不可能な程、きつく縛っているわけではない。

それでも躰を動かすたびに感じる重力は、続ければ続ける程に負担になりストレスになる。
慣れていない、今は特に。

それならば、とスプーンでグラタンをすくう。

オーブンから出した時に比べれば、グラタン皿は素手で持てるくらいには冷めている。
しかしスプーンですくったグラタンからは、まだ十分に湯気が立っている。

ふぅ、ふぅ、と息を吹きかけて、火傷しない程度に冷ます。