僕の可愛いお姫様

出来上がった物をまじまじと見る。
「形」にはなっている筈だ。

本当にただの、マカロニグラタン。
グラタンに欠かせないチーズは奇跡的に冷蔵庫に余っていた物。
ただしグラタン用ではない。
板状の、テレビCMなんかでよく目にする、アレだ。
チーズはチーズなんだから問題ないだろう。

作るのだって、箱の裏のレシピ通りにやった。
水もきっちり計ったし。
なのに、一般的なグラタンに比べて、ゆるい気がする。

「センスないな…。」

一人呟きながら、スプーンを二本用意する。
グラタンは一つしか作っていない。
お腹は空いていなかった。
ただ梅雨李に食べさせたかっただけだ。
スプーンを二本用意したのは、味見の為に。
同じスプーンじゃ梅雨李が嫌がるかもしれないからね…。