僕の可愛いお姫様

「『理屈じゃない』って何…解んないよ…。ねぇお願い…せめて『コレ』外してよ…。」

躰を起こしていた梅雨李は、軽く腕を上げた。

金属が鳴る。
束縛の解除を懇願する梅雨李。
その願いが叶う事は無いのに、「俺ならそうしてくれる」と信じているのだろう。
ジッと俺を見つめたまま目を逸らそうとしない。

「もう、誰にも邪魔されたくないんだ。確実に君を手に入れたい。
自由にしてしまえば次に君は此処から飛び出したいと願うだろう?
そうさせるわけにはいかない。
外は危険だからね。直ぐに二人を引き離そうと幾つもの手が延びてくる。

君を守れるのは俺だけだ。
何度も何度も何度も何度も…ソレを実感しても何度も邪魔が入る…。
俺は君とでしかこの想いは達成出来ない。言葉では云い尽くせない。

君が解ってくれるまで、君が素直になるまで、このままだ。
解るよね?梅雨李は良い子だから。」

手を伸ばして梅雨李の頬に触れる。
もう彼女が躰を震わせる事は無かった。

ただ静かに、泣いていた。