別室でぼんやりとしていた。
「これからの事」をあれこれと考えていたんだ。

君をこの部屋に「留まらせる」以上、不自由の無い生活をさせてあげたかった。
この部屋を創るにあたってはあれこれと計画は立てていたにしろ、続く生活については殆ど何も考えていないというのが事実だった。

生活を続けていれば当然資源や物資、食糧は足りなくなる。
調達の際、「君をどうするか」、目を離さなければいけない時間が一番不安だった。
君に一人で不安な想いだけはさせたくない。
いつも傍で、安心させていたい。

けれど、「どうにかなるか」とも思った。
だって君さえ居れば、その他の問題なんてどうでも良かった。

「君が居る」という事だけで、全てが解決すると、本気で思っていた。



リビングからカシャンッと音がした。
金属の擦れ合う音。

そっと部屋を出てリビングに向かう。

心臓が高鳴って、痛いくらいだった。

ねぇ、梅雨李。
君はちっとも知らなかっただろうけど、俺は君を目の前にして、それを何度繰り返しても「慣れる事」は無かったんだよ。

どれだけ言葉を重ねても、壊れそうな程、心臓が鳴るんだ。

今だってそう。

眠る君の隣に、そっと腰を下ろした。