「ねぇ、本当の事を話して?
梅雨李は俺に嘘なんか吐くような悪い子じゃないよね?
瑞穂は此処に…梅雨李の部屋に、何をしに来た?」

表情だけじゃない。声も冷たく、鋭い。
氷で躰全体を撫でられている様な感覚に陥る。

話し出した私の声は、震えていた。
だけどソレを隠したかった。
必死で抑え込もうとした。
しかしどんなに頑張っても、人間無理な事もある。

「嘘なんて何も…。き…今日ね、食堂で瑞穂と…「知ってるよ。見てた。」

焦る私とは対照的に、泉は冷静だった。

「見てたよ。瑞穂と二人でご飯、食べてた。
少し離れた席で友達と食べてたんだ。あの時も瑞穂と二人だった。
梅雨李は全然俺に気付かなかったね。」

「ふたっ…二人じゃないよっ…。
莉世も居たの、本当は。
泉は莉世が帰った後に食堂に来たのかもしれないけど、最初は莉世と二人で食べてたの。
それで…莉世が用事あるって席立っちゃって、それがなんだか不自然で…。

瑞穂も食べて直ぐに席立っちゃって、その後私、講義も無かったし帰るのも早いと思って、時間潰しにいつもの喫茶店に行ったの。
そしたら莉世も偶然居て…それで今まで話聞いてたんだけど…。

やっぱり瑞穂も莉世の不自然さが気になってたみたいで、心配して、それで私に話聞きに…。」

早口だった。私の焦りは完全にバレているだろう。