手紙は、カーターと、ウェスターフィールド邸の執事からのもので、かなり厄介な内容だった。
エヴァンはそれを読むなり、大きなため息をついた。
この村へ来た時は、滞在がこれほど長引くとは思わなかった。
彼女を見つけたら、有無を言わさずロンドンへ連れて帰るだけだ。そう思っていたから、三日もあれば片がつくと考えて、何もかもすべて放り出してきてしまったのだ。
……いや、違うな。
エヴァンは目を閉じて苦笑した。彼女に会えると分かった途端、他のことは何も考えられなくなった、というのが正しいか……。
なのに彼女の急病で、もう一週間以上ここに足止めを食っている。
カーターからの手紙には、命じておいた工場の調査結果のあらましが書かれていた。
執事からは、招待を受けた夜会で断ってはまずいものをどうするかなど。
親族達も彼が突然どこへ雲隠れしたのか、しつこく詮索しているらしい。
『至急、お戻りいただければ幸いです』
二人はそろってこう結んでいた。