こっちだってこりごりだ、と呟きながら、彼はローズを愛しげに抱き上げた。

 さっき撃たれそうになった自分をかばうため、危険も顧みずに飛び込んできてくれたのだ。

 今度こそ捕まえた。もう二度と離すものか。

 だが、彼女の顔のアザと首に流れる血を確認したとき、彼の顔がこわばった。

「これはいけない。すぐに屋敷に戻りましょう。手当てしなければ」

 カーターも眉を潜めてエヴァンを促す。

 かすかな意識の中で、ローズはよく知った懐かしい腕に抱き上げられ、運ばれていくのを感じていた。