彼女はローズをしばらくつぶさに見ていたが、やがてにっこり微笑みかけた。

「わたくしをご存知かしら?」

「はい」

「よかったわ、あなたには一度是非、お目にかかりたいと思っていたのよ。でもエヴァンもずいぶん控え目におっしゃったのね。こんなに美しい方とは聞いていなかったわ」

 アンナの言葉に、ローズはなおさら目を見張った。

「……どうしてわたしのことなど、ご存知でいらっしゃるのですか?」

「もちろん、エヴァンから聞いたに決まってるじゃないの」

 訳が分からない。それが顔に出たのだろう。アンナはくすくす笑い出した。

「アンナ、あなたもお人が悪いわね。それならそうと、もっと早くおっしゃって下さればよろしいのに」

 エルマー夫人までが、微笑みながらたしなめるように言う。

「でも、この方がお宅にいると、どうしたら分かって?」