悩んだ末とりあえずの手は打った。今のローズマリーでは、どんなに差し伸べても自分の手は拒むだろう。
エヴァンはその頃、家庭教師を必要としていた貴族の友人達の中で、最も人柄のいいエルマー夫人を選んだ。
くれぐれもよくしてやって欲しいと頼み、彼女を託した後も折にふれて必要な物を届けさせたりした。
雇い主の夫人からということにすれば、彼女も拒みはしないだろうから。
おかげで夫人に会う時には、彼女の様子を聞くこともできた。元気でやっているようだ。
不本意だが、彼女の気持ちが変わるとは思えない今は、これで譲歩するしかなかった。
