ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜


 夜更けまでクラブに入り浸り、カードゲームやチェスに無意味な時間を費やす。

 毎朝遅くに起き出し、夜半に酒をあおってようやく眠りに落ちる。

 目を覚ましてまた同じことの繰り返し。前途には、何の希望もない砂を噛むような日々が続くばかりだ。

 ローズマリー……。

 彼は椅子にもたれ指で目をおおった。彼女に会いたくてたまらなかった。

 一目姿を見るだけでもいい。彼女がいない日々にこの先いつまで耐えなければならないのだろう。

 このふた月あまりですでに、孤独と渇きに侵食され、ボロボロだった。その苦痛はかつて失踪した彼女を探していた時以上に耐え難いものとなっていた。

 あの日、見るともなしに見ていた新聞に、彼女名義の広告を見つけた時は、打たれたような気がした。

 彼女は既にすべてを過去に置き去って、新しく歩き始めようとしている。それを実感した瞬間だった。