自分は気にしないが、ただでさえ神経質になっている彼女は、ますます参ってしまうだろう。

 また求婚の手順としても、彼女の保護者なら申し込みをし、承諾を得なくてはならない。

「わかった。ではそうしよう」

 しぶしぶ応じた彼を、ローズは不安そうに見返した。

「伯父には……、何も言わないわよね?」

 案の定、彼の眉が上がった。

「まさか! 君の保護者なら、結婚の許可を受ける義務があるだろう? 事の次第をお話しして、了承してもらわなければならないじゃないか」

 聞くなり、ローズは唇をかんで黙ってしまった。

 翌朝、二人はロンドンに向けて出発した。