ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜


 気がつくと、部屋には朝の明るい日差しが溢れていた。

 今何時だ……?

 そう思った瞬間、エヴァンははっと起きあがった。

 昨夜遅く、彼女とともにこの寝台で眠りに落ちたのだ。あれは夢ではなかったはずだ。

 隣に彼女が眠った跡があったが、その姿は見えなかった。

 彼は大急ぎでベッドを飛び出すと、上着を手に階段をかけ降りながら、ローズマリーの名を呼んだ。

 不安の波が再び彼を捉える。まさかまた……。

 その時厨房から声が聞こえてきた。

 彼女はそこにいた。珍しく晴れた戸外の日差しを受けて、明るい厨房で、サラと一緒に朝食の準備をしている。

「おはようございます。よくお休みになれたようね?」

 ローズが明るい笑顔で声をかけた。

 いつの間に取ってきたのか、彼女はまた元の紺色ハイネックの服を着て、メイドのようなエプロンドレスまでつけている。