ローズは、どう応えていいかわからないまま、ただエヴァンのキスに身をゆだねていた。
やがて、戸惑いが伝わったように、彼は顔を上げると、彼女を見つめた。その眼差しは、さっきより穏やかになっている。
「今夜はこのまま休もう。ここで一緒に……」
「エ、エヴァン?」
思わず真っ赤になったローズに、彼がふっと微笑みかけた。
その笑顔があまりに魅力的でついみとれていると、彼も上着を脱いで隣に横たわった。びくっと身を引こうとしたローズを、ぐいとさらに引き寄せる。
「大丈夫。今夜は何もしないよ。ただ、君が近くにいると感じていたいだけさ。またどこかに行ってしまうと困るからね」
エヴァンの顔が、そのしなやかな身体があまりにも間近にあった。
彼がローズの身体をそっと同じ上掛けにくるみこんだ。長い孤独な日々の後、伝わってくる彼のぬくもりはとても安心できた。
「お休み、マイラブ」
彼の腕に抱かれて、ローズは心臓をバクバクさせながら目をぎゅっとつぶった。
こんな状態で眠れるわけがない、と思ったけれど、疲れには勝てなかったようだ。
次第に、遠のいていく意識の中で、彼の脈打つ心臓の鼓動を聞いていた。
