二人が連れ立って美しく飾りつけられた大広間に降りていく頃には、すでに招待客達が次々と到着していた。

 ローズは子爵とともに広間の入り口に立ち、入ってくる一人一人に声をかけて迎えた。

 いずれも堂々たる名門貴族の客ばかりだ。

 普段ならば気さくに話し掛けるどころか、挨拶すら控えなければいけない立場なのに。

 ローズは次第に緊張で喉がからからになってくるのを感じた。

「こちらのお嬢様は? 初めてお会いしますわね」

 決まってそう問いかけられる。ウェスターフィールド子爵が見かけない女性を同伴しているため、ことさら注目を浴びているようだ。

「本日デビューするミス・ローズマリー・レスターです。お見知りおきください」

 子爵が優雅に会釈し彼女を紹介する。