ローズは今自分が何をしているのかを強く意識し、慌てて彼の腕から抜け出そうとした。だが彼は離さなかった。もう一度腕に力を込め、一層きつく抱き締める。
「村から戻ってみたらメイベルが、君が一人で森へ入ったきり戻らないと、ひどく心配していた。君を探しに出ていて本当によかった。さっき君の悲鳴が聞こえたときは、心臓が止まったよ。ローズマリー……」
初めてミス・レスターでなくファーストネームで呼ばれ、はっとする。
思わず彼を見つめると、もう一度唇が下りてきた。もう彼にためらいは感じられず、ローズはただ彼の腕の中で震えていた。やめてと言うべきなのに喉から声がまったく出ない。
急に乱暴に身体を押し戻された。高ぶった気持ちを落ち着けるように、エヴァンは鋭く息を吸い込むと、一瞬目を閉じた。
再び目を開くと呆然としているローズの足元に片膝を突き、スカートの破れと足を調べ始めた。
その時になって今の自分の姿がいかに悲惨かを思い出し、ローズは赤くなった。
