そこまで考えてはっとする。

 これじゃ、まるで彼に恋でもしてるみたいじゃない……。

 恋? 恋ですって? これが恋なの?

 ローズは呆然とその言葉を繰り返して、その場に立ちすくんだ。

 彼は名門貴族で自分の主人。こんな感情はまったく無意味としか言いようがないのに……。

 考え込んでいるうちに、ずいぶん森の奥まで入り込んでしまったと気づいたのは、しばらく経ってからのことだった。


 早く戻ろうと振り返った時、静かな森に、突然数発の銃声が轟き渡った。