最初の日の散歩以来、子爵の自分に対する態度が急によそよそしくなったような気がした。

 ウェスターの城には今、付近の村から主人滞在中の用を足すために、娘が二人と男が一人雇われてきている。彼らにさえ気軽に接する子爵の姿を窓から眺めながら、彼女は大きなため息をついた。知らない間に彼の機嫌を損ねるようなことを、何かしたのかと、落ち込んでしまう。

 あれから、子爵は彼女に話し掛けることもなく、目を合わせることすら避けているのではないかと、疑いたくなるほどだった。

 マーガレットと三人一緒に馬車で出かけたり森を散歩する時も、礼儀正しく最低限必要な会話しか交わさない。特別の何かを期待したわけではないが、ことさら無視されているようで辛かった。

 せっかくのローズの休暇は台なしになってしまった。時間はもうあと僅かしか残っていない。