子爵はそんな彼女をまじまじと見つめていた。

 彼の顔に、突然緊張したような表情が浮かび、身体も心なしか強ばっている。

 どうしたのかしら?

 不思議そうな彼女の様子に気づくと、さっと目をそらしてしまった。

「寒くなってきたようだね。中へ戻ろう」

 ややぶっきらぼうにローズを促し、城に入っていく。

「ゆっくりおやすみ」

 そう言い残すと、彼は振り返りもせず、足早に三階に上がっていった。



 翌朝目を覚ましたローズが階下に降りていくと、リー夫人がメイド達の朝食の準備を監督していた。

 子爵は馬で遠乗りに出かけたらしい。後から起きてきたマーガレットが、がっかりしている。

 ローズはマーガレットを慰め、食事が済んでから森にリスを探しに行こうと言った。