澄んだ空の下で


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きっと思い出す事はないだろうと思っていた。


“若菜、カラオケいこーよ”


学校帰り、休みになるとサエコとそう言ってた。

中学からずっと仲良しで、サエコの影響を受け、あたしもみるみるうちに派手になってた。


明るく染まった髪を綺麗に巻いて、ピアスを開け、流行りものは全て手に入れて、まるでその頃から大人びた存在だった。

周りから中学生だなんて思われない要素で、かなりあたし達は浮いてた。


でも、それが楽しくって、毎日が楽しくって、生きてる事がこんなに楽しいものだとは思わなかった。


その時、アオとも出会った。


要するに、アオも少し浮いた存在で周りの女の子から“カッコいい”って、ずっと言われてた。


そんな中学3年生夏。

男女、色んな友達で海に行こうとなったその日。


あたしはそこに来てた彼を好きになった。

日が経つうちに好きで好きでたまらなくなって、お互い頻繁に遊ぶようになった。


中三の冬に告白されて付き合って。


多分、これがあたしの中での絶頂期だった。