「おーい、お前ら何やってる。席につけー」
教師が入って来たお陰ですくわれた様な気がした。
教室中ピリピリとした雰囲気の中、生徒達は座りだす。
…ほんと、バッカみたい。
「―――…わ、若菜ちゃんっ、」
教室を出てスグに弾ける美奈子の声。
だけど、あたしはその声を無視して自分の教室に入った。
「あっ、ちょっと花城さんっ?」
女教師が鞄を持って出て行くあたしに声を掛ける。
「体調悪いんで」
そう言って学校を抜け出したあたしは近くの公園へと立ち寄った。
大きな木の下にあるベンチ。
丁度、木の影で寝転ぶのには良さそう。
持っていた鞄をベンチに置いて、足を地面に付け、鞄を枕に身体だけを倒した。
真上に見える木。
風になびいてソヨソヨと揺れ、葉と葉の間から微かに見える太陽が雲に少しづつ覆われてた。
“アンタ、親友に男とられたんでしょ?”
そう言ったあの女の顔が浮かぶ。
でも、嘘じゃない。
嘘じゃないから言われても仕方ない。



