「ちょっと、」
そのグループの前に立ったあたしはその女を睨みつけた。
「は?あんた、何?」
そう一番最初に口を開いたのは牧原って女。
面倒くさい、こー言うの。
なんであたし来ちゃったんだろうと、今更思う。
なんで関係ないあたしが首突っ込んでるんだろうと…
だけど、美奈子を見てると気持ちが分かるの。
過去の自分と重なるの。
「あんた、美奈子になにした?」
「はぁ?」
「だから美奈子に何したって言ってんだよ!!」
バンと机を叩いて声を上げたあたしに、周りに居た生徒がザワザワと騒ぎだす。
「美奈子?だれ、それ…」
そう言ってクスクス笑う女に嫌気がさす。
「アンタが叩いた女だよ」
そう吐き捨てた瞬間、クラス中がさっきよりも静まりかえる。
その嫌な空気から、目の前に居る女の目付きがスッと変わる。
「って言うか、忠告しただけなんだけど」
「忠告?」
「アイツがあたしの彼氏にベタベタすっからだろ。まじウザいんだけど!調子にのんじゃねーよ―――…」
何、言ってんの?この女。
そう思った時には遅かった。
あたしの手が女の頬に向かってた。
―――バチン!!と響く音に、周りから冷たい視線が飛んでたから。



