「あのさ、アオ。そう言うの言っちゃダメだよ」
「は?なんで?」
「あたしとアオは前みたいな関係じゃないでしょ?…千沙さん、居るのに」
「あー…」
そう呟いたアオはフッと笑って、あたしの横を通り過ぎていく。
そして、
「別に付き合ってねーからな」
なんて小さく呟いた。
「でも好きでしょ?付き合おうって言わないの?」
「そう言う事、聞くかねぇ…」
「だって、」
「アイツとは付き合わねーよ」
「なんで?」
「そうお互い決めたから」
「なにそれ。意味わかんない」
「で、お前はどうよ」
「何が?」
「恭さんと、」
「別にどうもないけど。…振られたし」
アオが振り返った。
あたしの教室の前で。
振り返って、あたしをジッと見つめた。
「お前、告ったの?恭さんに…」
「でも振られちゃった」
ハハッと笑うあたしにアオは、
「へー…マジで恭さん誰とも付き合わねーんだ」
なんて小さく声を漏らす。
そしてアオはあたしに背を向けて自分の教室に向かって歩き出した。
…なに、あれ。
それにしてもアオの奴、千沙さんと付き合わないんだ。
好きだったのに?
千沙さんもアオの事、好きなのに?
二人の事なんてよく分かんないけど、なんだか切なくなってしまった。



