澄んだ空の下で


なのに美奈子は何一つ言葉を出さずにあたしの前を過ぎ去ろうとするから、


「ちょっと待ちなよ」


素早く美奈子の腕を掴んだ。


別に、ほっとけばいい。

ほっとけばいいって、思ってんのに。


なんで、あたしは。


「何があった?アンタがそんな風になるのは何かあったって事でしょ?話してくれなきゃ、この手…離さないから」


さっきよりもグッと掴んだ美奈子の腕。

そんなあたしに心配かけたくないのか、美奈子は少し笑みを漏らした。


「ちょっと勘違いされただけ。でも、大丈夫だから」


…勘違い?

明るく振舞ってるけど、美奈子の性格は分かる。


大丈夫と言いながら、心の中はグチャグチャだろう。


「勘違いって、誰に?何て言われた?」

「もー、若菜ちゃん心配しすぎだよ」


エヘヘと笑う美奈子。

なのに何で悲しそうにすんの?