「どー言うつもり!?お父様にあんな事を言うなんて!!」
グッと詰め寄って来た女の態度に少し後退りする。
「ホントの事伝えただけです」
「ホントの事って、冗談じゃないわよ!!あんたの所為でめちゃめちゃよ!どーしてくれんのよ!!」
「……」
「あんた分かってんの?事業を成功させるのもあたしとの結婚が必要なの!それを他人のアンタがめちゃめちゃにして!」
「……」
「何もわかってないのはアンタでしょ!?口突っ込まないでよ!!」
ズドンと重く圧し掛かる言葉があたしの胸へと突き刺さる。
と、同時にグッと背後に引かれた腕に足がよろめいた。
「……」
無言であたしの手を引いて立ち去ろうとする恭に、
「待ってよ、恭!!その女のどこがいいのよっ!!」
なんてヒステリックな声が背後から突き刺さる。
なのにそんな声すら無視をして足を進めて行く恭に言葉すら掛けれなかった。
素早く歩く恭の歩幅に必死で追いつこうとする。
そんな中、言い過ぎたか…なんて考えながら思わずため息をついた。
そして外に出ようとする瞬間、こっちに向かってくる恭のお母さんの表情が何だか悲しそうに見えた。
そんなお母さんとすれ違う時も恭は無言で、むしろ何を話してたんだろうと気になったりもした。
実の母親なのに赤の他人のように過ごしてきた二人。
ほんとにあなたは恭を産んで良かったと、思っていますか?
だけど産んでくれたからこそ、こうやって恭と一緒に居れる事にあたしは幸せを感じる。
だからありがとうって…



