「あっ、」
あたしを見た瞬間、美奈子は見られたくないかの様に顔を下げた。
だけど、その一瞬をあたしは見逃さなかった。
少し赤くなった瞳。
そして、皺くちゃになってる襟元。
鎖骨ら辺が少し赤い。
「ねぇ、美奈子?」
「……」
「ねぇ、美奈子ってば!!」
勢いよく声を出すあたしに、美奈子同様、教室に居た数人の人達はビックリした様にあたしに視線を向ける。
ちょっと震えだした美奈子の腕をあたしは掴んで、人気がない廊下へと向かった。
「どうしたの、美奈子」
そう言ったあたしに美奈子は首を振る。
「何も、ないよ?」
「何もないって事ないよね?明らかにアンタおかしいよ?」
「おかしくないよ?」
そう言った美奈子はあたしの顔を見て薄ら笑う。
「じゃ、なんでいつもみたいに来ないのよ」
「ちょっと体調悪くて」
「泣く程悪いわけ?だったら帰んなよ」
冷たく言い放ったあたしに、美奈子はさっきよりも表情を崩す。
体調じゃない事くらい分かる。



