澄んだ空の下で


仲居さんが部屋を案内してくれた。

扉の前でドキドキ高鳴る胸を片手で押さえる。


こんなに緊張したのはいつぶりだろうか。

あぁ、そっか。

初めて恭とあの屋上で話した日以来かも知れない。


「…すぐ終わらせるから」

「うん」

「若菜は必要な事以外何も言わなくていい。俺が全部答えて終わらすから」

「うん」


…って言われてもさすがにどうしたらいいのか分かんないよ。


そして恭が目の前の扉をノックしようとした時、


「…恭?」


小さく聞こえた声に肩がビクンと上がった。


「あ、やっぱそうだ!久しぶりだね、恭」

「……」


振り返った恭に明るく振りまく女から思わず目が離せなくなった。

この人が、恭の?


見た目から物凄くお嬢様の雰囲気が伝わる。

そしてその微笑む顔からして物凄く恭の事が好きなんだと実感してしまった。


…やっぱ、ダメかも。


「…って言うか、誰なの?」


スッと言葉と同時に向けられた女の人の視線。

あたしをジッと見つめた後に恭に視線を送った。