「…やってみるよ、あたし」
「え?」
「だから早く行こう。時間、大幅に遅れてる」
グッと腕を掴んだ瞬間、
「え、若菜?」
恭の戸惑った声が落ちる。
「行くの、行かないのどっち?」
「お前はそれでいいのかよ」
「じゃ、あたしを誘わないでよ」
「悪い」
「…にしても、その恰好でいいの?あたしだけパーティー気分なんだけど」
全身見つめるあたしに恭は小さく笑みを漏らす。
「俺はこれでいい。こんな集まりごときに張り切る方が馬鹿」
「それ、あたしに言ってんの?」
「いや。それは…俺が選んだから」
「え…」
「んじゃ、行くぞ」
「え、ちょっ、」
歩き出した恭の腕を掴んで居た所為で必然的に足が進む。
ちょっと、やっぱしまだ待ってよ。
このドレス…恭が選んだの?
なんで?
あたしの為に…?



