机に頬杖を付き、窓側の席からずっと遠くの景色に目を向ける。
心地いい風も青みがかかった空も、午後からじゃ雨が降るらしい。
こんなに天気がいいのに一転しちゃうのか。
ぼんやりと眺めていると、始まりのチャイムが鳴り、それと同時に前のドアから美奈子が姿を表した。
だけど様子が違う。
いつも馬鹿みたいに明るく振る舞っている美奈子なのに、今日は何だか様子が違う。
俯いて入って来た美奈子は、椅子に座るなり顔を伏せてしまった。
…なに?
そう思ってると、先生が来て一時間目が始まっていく。
だけど、あたしは授業より美奈子が気になって仕方がなかった。
ここから見える美奈子の後ろ姿。
普段は気になんてならないけど、今日は何だかその背中が泣いてる様で、目が離せなかった。
「…美奈子?」
そう言ってあたしが声を掛けたのは休み時間になってすぐ。
いつもなら、若菜ちゃん。って!ウザイくらいに近寄ってくる美奈子なのに、今日はそれがない。
だから、気づけばあたしは美奈子の前に立ってた。
「…ねぇ、美奈子?」
もう一度、声を掛けるあたしに、美奈子は一瞬肩を震わせ慌てて俯いていた顔をあげる。



