「座って、聞くから」
起き上がった千沙さんは近くにあったパイプ椅子を引っ張り、もう一度あたしの腕をグッと引く。
その所為で無意識に座ったあたしは何故か、俯いてしまった。
「何があったの?」
「…いえ、別に」
「別にって感じじゃないけど。恭と何かあった?」
「え?」
咄嗟に声を出したあたしに千沙さんはクスクス笑い始める。
「若菜ちゃんて、わかりやすーい」
そう言った千沙さんはもう一度笑みを漏らす。
「で、どうしたの?」
千沙さんはグッと顔近づけるとコクリと首を傾げた。
「何もないですよ、ほんとに。それよか千沙さんはどうなんですか?アオと、」
意地悪なあたしは、つい千沙さんに話を振ってしまった。
「蒼斗?」
「はい。あたしが千沙さんに会った事に怒ってたから。って言うか、いつから知ってたって…」
「あー、うん。蒼斗、すぐにココに来たからね」
「そうなんですね」
「すごーく怒られちゃった」
エへへと笑う千沙さんは何だか、吹っ切れた様にも思う。



