澄んだ空の下で


コンコンと軽快にドアを叩く音が響く。

だけど中からの返事はなく、もう一度ノックする。


それでも応答がない為、あたしはゆっくりとドアをスライドさせた。


「どうぞ…ゴホッ、ゴホッ、」


小さく聞こえる声と咳き込む、声。

カーテンから顔を覗かせると、ベッドに寝ていた千沙さんはマスクをしたまま苦しそうに咳込んでた。


「だ、大丈夫ですか!?」


慌てて駆け寄り、あたしは寝転んでいる千沙さんの顔を覗き込む。


「久しぶりだね、若菜ちゃん」

「それどころじゃないですよ、先生呼びましょうか?」

「あはは。大丈夫だよ、ちょっと咳こんだだけ」

「でも…」

「来てくれてありがとう。もう若菜ちゃん来ないのかと思ってた」

「あ、でも…迷惑かけちゃうんで今日は帰りますね。ゆっくり休んで下さい」

「ま、待って――…」


一歩下がった瞬間、千沙さんにグッと腕を掴まれる。


「……」

「どうしたの、若菜ちゃん…」

「え?」

「泣いてたの?」

「え、泣いて…ないですよ?」

「寂しそうな顔してる。何かあったからココに来たんじゃないの?」

「……」


何も言えなかった。

自分ではどんな顔をしてるかなんて分らないけど、千沙さんにそう言われたら何故か苦しくなった。