あー、やっぱあたし、この人の事本気で好きなんだ。
じゃなきゃ、キスしてる所を見ようが何も思わない。
ただ、本気で好き過ぎて、他の誰かと居る所を見ちゃうと、ムカツクんだ。
「なぁ…」
不意に呟かれた声に視線を向けると、目の前に現われた恭の顔に、
「え、ちょっ――…」
あたしの言葉は恭の唇によって塞がれる。
…え、なにこれ。
「…お前のしたいのって、これ?」
「え、」
あまりの衝撃的な出来ごとにこれ以上声が出ない。
「さっきも言わなかったっけ?あれは俺からしたんじゃないって。俺からするってこー言う事じゃねーの?」
ガタンと勢いよく背後に倒れる座席。
見上げる視界は車の天井から恭の顔へと変わる。
その瞬間、さっきの続きの様に恭は何度もあたしの唇を奪った。
なんで?と思うのにやっぱしそれを拒否出来なかった。
あぁ。好きなんだって、そう思うと自分が情けなくなる。
ただ適当なキスだと分かっていても拒否れない自分が嫌になる。
でも、やっぱし愛しいと思うこの人から離れたくないって、そう思ってしまった。



