「恭は今のこの現状に気付いてると思う?」
「さぁ…」
「気付いてても知らない振りしてるか、それとも本当に気付いてないか、」
「え、あの…何が言いたいんですか?」
「気付いてたとしたら恭は俺に怒ってるか、若菜ちゃんに怒ってるか」
「はい?あの、よく分からないんですが…」
「うん。要するに俺と若菜ちゃんが居るとムカツクって事」
「はい?いや、ってか恭はあたしには無頓着です。だってさっき――…」
「さっき?」
「いや、」
つい口ごもってしまった。
恭と女の人が居た事なんて何故か言えなかった。
「まぁ、いいからこっち」
突然グッと引かれた腕。
「えぇっ!?」
身体がグランと揺れた瞬間、気づいたら恭の近くまで行ってた。
そのあたし達の姿に気付いた恭は何の表情も見せずに視線を向ける。
だから、つい目を逸らせてしまったのに。
「恭、悪い。俺、ちょっと用事出来た。だから若菜ちゃん送ってって」
「…は?」
あたしの心の中で呟いた声が、恭の口からすんなり出る。
ちょっとだけ眉を寄せた恭はセナさんをジッと見つめた。



