「ごめん…。でも一つだけ聞いてい?」
「なに?」
「アオ、いつも居たでしょ?綺麗な女の人と」
「は?」
「ほら他校のスラっとした美人さんだよ、アオその人とよく一緒に居たじゃん」
「あー…」
思い浮かんだのか、アオは空を仰ぎながら語尾を伸ばした。
「あの人はなに?アオは昔っからその人が好きなんだと思ってた」
「え、まじ?」
「うん。だってよく居るでしょ?一緒に…」
「だっけ?」
「居るよ!だって何度か見たもん」
「へー…」
「へー…って何よ!千沙さん居るくせに」
「つかアイツは関係ねーだろ。つかよ、傍から見るとお前と俺もなんだっつー話だぞ」
「…あ、」
考えてみればそうかも知れない。
ずっとアオと一緒に居た。
だから周りから見たら、そんな風に思ってるんだろうなと、ふと思った。
「つか俺と一緒に居た奴は何でもない。ただ一緒に居たいっつーから居ただけ。ただ、それだけ…」
「そっか」
それ以上、何も言えなかった。
そして聞けなかった。



