アオが足を止めた場所は公園とまではいかない小さな広場。
そこにあるベンチに腰を下ろしたアオはゆっくりとあたしに視線を向けてすぐ逸らした。
だから、
「アオ…、ごめんね」
申し訳なく呟いたあたしに、アオは乱暴に髪を掻き乱した。
「いや、俺の方こそゴメン」
そう言ったアオは深くため息を吐き捨てる。
「ううん…」
「座れよ」
「うん」
アオと少し距離をとってあたしは腰を下ろす。
「若菜がムカついて怒ったとかじゃねーから」
「うん…」
「ただ、ムシャクシャしてただけ」
「ごめん、アオ…」
「だから謝んなって」
「……」
「それに…、恭さんの事、恨んでるとかそんなんじゃねーから」
「え?」
思ってもみないアオの口から吐き出された恭の名前。
だから思わず勢いよく下げていた頭を上げた。



