「わーかーなーちゃんっ、」
気がつけば2学期を迎えてた。
始業式が終わって帰ろうとしたその直後、美奈子は笑みを漏らしながらあたしの顔を覗き込む。
「どーしたの?」
「ねぇ、何処かに行こうよ」
「……」
「あ、もしかしてこの後、予定あった?」
「別に…帰って寝るだけ」
「寝るって…勿体ないよ、こんなに晴れてるのに」
ってか、そんなの関係ないじゃん。
美奈子は窓から顔を出し空を見上げた。
「別に行きたい所とかないし」
「じゃー、あたしに付き合ってよ。それならいいでしょ?」
「好きにしたら?」
「じゃあ、決定だね」
声を張り上げた美奈子はあたしの腕をギュっと握りしめた。
美奈子が腕を引く力に任せて足を進める。
気を効かせてあたしに接してるのかどうかは分からないけど、最近の美奈子はちょっと違う。
行動的になったと言うか、明るくなったと言うか…とにかく違う。
あたしが無理をさせてるのかも知れない。
「あ、蒼斗くんが居る」
校門を出てすぐに美奈子は小さく呟いた。
少し離れた所にある電柱に背を付けて俯くアオの姿。
でもどう見ても学校に行ったとは思えない、私服姿だった。



