「今、すげー焦ったっしょ?」
「いや別に…」
「若菜ちゃんのそー言う所が可愛いんだよなー…」
「はい?」
「ほら普通の子とちょっと違う所っつーの?」
「違う所とは…」
「んー…なんつーか、ガサツじゃないってか、自然体な所」
「はぁ…よく分かんないんですけど」
「だから恭の事も凄く分かんだよね」
「はい?」
「恭に会うなとか言われたっしょ?」
図星なだけに目が少し泳いだ。
その泳いだ視線を誤魔化そうと、窓の外を見つめるも、
「やっぱなー…」
なんてセナさんの声が耳を通り抜けた。
「だって若菜ちゃんと居たら調子が狂うもんな」
「…はい?」
数秒遅れで声をだすあたしはセナさんに首を傾げる。
さっきからセナさん、意味不明。
「恭に会って話して来なよ。聞きたい事いっぱいあんでしょ?」
「……」
「じゃなきゃ、あいつからは絶対若菜ちゃんに会わないと思うし」
「……」
「それに俺と若菜ちゃんの事、勘違いされても困るしね」
ニコっと微笑んだセナさんは一体何を考えているのかあたしには分からなかった。



