「で、なんでそんな寂しそうにしてんの?」
「え?」
不意に振られたその言葉に、思わず動揺してしまう。
「恭に何か言われた?」
「……」
「さっき千沙の事聞いた時、若菜ちゃん、その事には何も…って言ったでしょ?じゃー他に何かあるって事だろ?」
「いや、別に…」
「ふーん…って言いたいとこだけど、分かりやすいね、若菜ちゃんって」
「……」
クスクス笑うセナさんはやっぱり面白そうで…
「そんな顔してっと、すぐ分かるけど」
そう言って、俯いているあたしの顔を覗き込んだ。
「多分勘違いされてますよ?」
俯いている視線を少しずつ上げる。
「何が?」
そう言いながらセナさんの顔がゆっくり離れた。
「恭はセナさんがあたしの事を好きだと思い込んでます。それか付き合ってると思い込んでます」
「へー…だったらダメなの?」
「え?ダメって言うか。だって…」
違うのに…
「ってか俺、若菜ちゃんの事スキだけど」
「えっ!?」
真剣にそう言ったセナさんに思わず声を上げてしまった。
なのにセナさんはまた意地悪く笑みを漏らす。



