「…え?それって俺に何かを求めてる?」
少し間を置いて、セナさんが目を見開く。
「だってセナさんしか居ないです」
「俺ねぇ…」
「……」
「恭は何つってた?」
「いえ、その事についてはとくに…」
「その事?…まぁ、アイツが何も言うわけねーか…」
「……」
「つか別に考える事なくね?」
「え?」
「どーせ早かれ遅かれ分かる事だろ。それが今だっただけで、蒼斗も馬鹿じゃねーからちゃんと考えてるって」
「ですかね。でも千沙さんに会って、千沙さんの気持ちも分かるし、アオの気持ちも分かるんです。それに恭の考えてる事もなんなく分かるし」
そう言うとセナさんは何でか知らないけどクスクス笑い出した。
「ってか、忙しいね若菜ちゃん」
「はい?」
「皆の気持ち読み取って忙しいね」
「だって…あたしとしては複雑なんです」
「うん」
「なんで千沙さんは本当の事言わなかったの?って。何で恭は周りに言われてるのにそれでいいのかって。なんでアオは本当の事知らないまま恭を恨まないといけないの?って」
「うん」
「だから知ってしまった限りどうしたらいいのかって…」
悩んで悩んでしてしまう。
本当は別にどうって事ないのかも知れない。
あたしが悩むべき事じゃないのかも知れない…
でも。



