澄んだ空の下で


「椎葉先輩、いつもと違う感じがした。不思議だった」

「なにが?」

「だから言ったでしょ!?椎葉先輩は一匹オオカミだよ」

「はぁ?」

「あまり他人と係わんないの。噂だってよくないし、ちょっと怖い存在。…だと思ってた」

「……」

「でもねぇ…あの時、話した時すごーい不思議だったの」

「……」

「あっ、椎葉先輩って話せるんだ!って思った」

「……」


何それ。

話せるに決まってんじゃん…


「他人に興味ないクールなイメージじゃん?でもね、若菜ちゃんの事をそんな風に言ってたから、もしかしたら悪くないのかなーなんて思ってみたり」

「…うん」


だから言ってんじゃん。

恭は悪い人じゃないって。


セナさんが言ってた様に…

千沙さんが言ってた様に…


周りが思ってる程、恭は悪い奴じゃないんだよ?

ただ、周りがそう思ってるから、恭が崩れてんだよ。


…って、そんな風に思ってても、もう会えないんだけど。

会わない方がいいって言われたら、会う意味なんてないよ…


なのに。なんで美奈子にそんな事言ってんの?


「…って、あれ?今、若菜ちゃん“うん”って言ったよね?」

「だからなに?」

「やっぱ若菜ちゃんは何でも知ってんだね、椎葉先輩の事。あたしは周りの噂しかしらないから」

「……」

「だから椎葉先輩の事をイメチェンする為にも、本当の事教えてね。だって友達でしょ?」


なんて言った美奈子にウンザリしつつも…